内科 糖尿病

DPP4阻害薬の比較・使い分け【腎機能用量調節と薬価と...】

更新日:

※2020/912加筆修正

DPP4阻害薬は本邦においてはNo.1シェアの経口血糖降下薬です.
≫こちらの記事でDPP4阻害薬の特徴をまとめています.
 
かなり種類が多いのですが,発売されてから期間も経ち,その多くが特許切れで,今さら製薬会社も各薬剤の比較を教えてくれなくなってきています.

一方で,使用頻度は高い薬剤だと思うので,各薬剤の使い分けを知っておきたくないですか?

今回は,心血管疾患予防のために日々糖尿病治療に携わっている私が考える,DPP4阻害薬の中での具体的な使い分けの話をしていきます.
(多分に私見を含みますが,あくまで私見ですのでご容赦ください.)

糖尿病専門医ではないからこそ,固っ苦しい話は抜きです.臨床での実用性がある知識だけをお伝えします.

DPP4阻害薬の使い分け


3タイプ+週1回製剤に分けて考えます.キモとなるのは"内服回数""腎機能用量調節"です.DPP4阻害薬 比較 使い分け

注意
添付文書上は"GFR"ではなく"CrCl"を用いた用量調節となっています.
本表では,簡便に計算されるGFRを用いましたが,正確な腎機能用量調節をする際には,24時間畜尿をして,CrClを求めてください.

 

TYPE①1日1回内服,腎機能用量調節あり.安価な薬剤が多い.

シダグリプチン(ジャヌビア®,グラクティブ®)

世界初のDPP4阻害薬.常用量(50mg)以下では最安価
GFR50以上なら100mgへの増量も効果あり.老舗の安心感.

アログリプチン(ネシーナ®)

合剤が多い.単剤で選ぶメリットは少ない(私見).

サキサグリプチン(オングリザ®)

解離半減期が長いらしいが,だから何?そのことで有効性に差が出るかは不明.
安い
世界的には古い薬だが,国内承認が7番目と遅かったので使用に抵抗がある(私見).
 

TYPE②1日2回内服.血糖降下作用が強力.腎機能用量調節あり.

ビルダグリプチン(エクア®)

おそらく血糖降下作用は最強.DPP4選択性が低いらしく,皮膚障害などは多いかもしれない.
DPP4阻害薬で唯一"重度肝機能障害時は禁忌"とされている.

アナグリプチン(スイニー®)

血糖降下作用とは独立して脂質異常改善効果(TG/LDL-Cの低下,HDL-Cの上昇)が言われている.
 

TYPE③1日1回内服で腎機能用量調節不要.少しだけ高価.

テネリグリプチン(テネリア®)

腎機能用量調節不要で増量効果(20mg→40mg)もあり.
CKD症例高齢症例単剤コントロールを目指したい場合は最適の薬剤
但し,40%程度は腎排泄なので,増量時は慎重に

リナグリプチン(トラゼンタ®)

80%以上胆汁排泄なので,いよいよ腎機能は気にしなくていい
血糖降下作用の切れ味はイマイチ
糖尿病専門医の先生方は「(眼底出血リスクなどが低く)逆にそれがいい」ともおっしゃるので,一概にデメリットではない.
 

週1回内服

服薬アドヒアランス向上を目的に開発されました.
個人的には,週1回にすることで,むしろ服薬を忘れないか?みたいに思ったりもします...

トレラグリプチン(ザファテック®)
オマリグリプチン(マリゼブ®)

違いは,重度腎機能障害例でトレラグリプチンが禁忌となるのに対して,オマリグリプチンは減量すれば使用可能であること.

余談

ひと昔前までは,薬剤によって併用可能薬が限られていたため,"併用可能薬で使い分ける"という観点がありましたが,現在では,全DPP4阻害薬が,インスリンを含む全ての糖尿病治療薬と併用可能なので,気にしなくていいです.

経口摂取困難で,経鼻胃管や胃瘻から薬剤投与する場合,"粉砕できるか否か"で使い分けを考えることもあります.(もういっそGLP1作動薬に変えちゃえば?とも思いますが...)

ちなみに,添付文書上の"心不全患者で慎重投与"という記載の有無,なんて違いもありますが,私は(循環器内科医として)気にしていません
(チアゾリジンのような)禁忌ではないですし,"心不全を増悪させる可能性がある"の明確な機序はわかってないので,class effectかdrug effectかなんてわかるわけがないんです.使い分けの基準としては弱いでしょう


 

まとめ

全部を頭に入れるのは難しいですよね.

というか,全てのDPP4阻害薬が採用されている病院なんて滅多にないでしょうし,一つ一つを細かく覚える必要はないと思います.

ココがポイント

安価シダグリプチン,サキサグリプチン
腎機能を気にしなくていいテネリグリプチン,リナグリプチン
(1日2回飲めるなら血糖が良く下がるビルダグリプチン,ビルダグリプチン)

正直,実臨床ではこの理解だけでいいと思います.

ビルダグリプチン,ビルダグリプチンに関して括弧書きにしたのは,“血糖が良く下がる”かどうかを他剤と客観的に比較するのは困難だからです.

使用経験上“よく血糖下がる気がする”と専門医の方から聞いたこともありますが,"2回内服"という特殊性からdoseや薬物動態としてそもそも同じステージに立っているのか,という疑問もあります.(「他剤のdoseを増やしても同じなんじゃない?」とか)

一方で,2回内服にすることによるアドヒアランスの低下は明確なので,血糖を下げたい時は,このような曖昧な効果にかけるくらいなら,(DPP4阻害薬を変更するのでなく)他剤の併用を開始した方がいいと思います.

Drぷー
どうでしたか.
DPP4阻害薬を使用する時の選択肢のイメージはつきましたか?

知識は知識で持ちつつも,実臨床での選択はそこまで頭をひねることでもないと思います.

薬価や,腎機能用量調節だけ,客観的な差別化なので,そのキモだけを外さずに自分ルールを作ればいいと思います.

-内科, 糖尿病

Copyright© 循環器Drぷーのコソ勉る〜む , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.